2004 Fiscal Year Annual Research Report
補助干渉計によるTAMA300レーザー干渉計型重力波検出器の高感度化
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03J10915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
麻生 洋一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / Suspension Point Interferometer |
Research Abstract |
重力波とは、一般相対性理論から導き出される時空そのものを伝達媒体とする波動現象である。現在重力波の直接検出を目指して世界各国で大型レーザー干渉計が建設され、観測態勢が整いつつある。 日本では国立天文台にTAMA300という基線長300mの干渉計が建設され観測を行っている。さらに、感度を大幅に向上させた次世代干渉計として、低温干渉計LCGTを建設する計画が現在進められている。 LCGTでは、鏡を低温に冷やすために、懸架装置の一部に排熱用ワイヤーを取り付ける必要がある。しかしこのワイヤーは逆に地面振動を懸架系に導入してしまい、感度の悪化を引き起こす。 本研究のテーマである、Suspension Point Interferometer (SPI)は、排熱用ワイヤーによる振動混入問題に対する有効な解決策として期待されている。SPIは、重力波検出に用いられる主干渉計の懸架点に構成される補助干渉計である。 この補助干渉計で懸架系の振動をモニターし、それを打ち消すような力を加えることで、懸架点における振動を抑制することができる。 本研究では基線長1.5mのFabry-Perot干渉計を構築し、SPIの検証実験を行った。 この干渉計の懸架系は基本的に三段振り子であり、縦方向防振用の低周波バネも二段組み込まれている。 レーザーの周波数安定化および空間モードの整形用として、固定鏡によるモードクリーナー共振器も導入した。 実験結果として、1Hz付近で約40dBの防振性能を得ることに成功し、SPIの有用性を確認できた。 また、SPIを設計、構築、運用する際のノウハウを蓄積することができた。 本研究の成果は、今後LCGT干渉計の具体的な設計を行う土台となるものである。
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Research Products
(2 results)