2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J10917
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
穴吹 直久 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部・高エネルギー天文学研究系, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線 / 赤外線銀河 / CCD検出器 |
Research Abstract |
我々の銀河を含む多くの銀河に存在する、質量の非常に大きなブラックホールの形成の現場を明らかにするため、赤外線で明るい銀河(大光度赤外線銀河)のX線観測を行った。大光度赤外線銀河は、銀河同士の衝突・合体の過渡的状態にあり、巨大ブラックホールが形成・成長する現場になり得ると考えられている。ブラックホール最近傍から放射するX線を観測し、その強度変化やスペクトルの形状からブラックホール周辺の質量降着状態を明らかにすることが本研究のねらいである。これまでは近傍の大光度赤外線銀河が重点的にX線観測されてきたが、どれも自己吸収が大きかったため、その中心核は詳細に調べられていない。そこで、他波長観測の結果に基づき、自己吸収が小さいと予想される大光度赤外線銀河のサブサンプル(10天体)を作成し、アーカイブ・データの解析とアメリカのチャンドラ衛星、ヨーロッパのXMMニュートン衛星で新たに追加観測した。その結果、そのほとんどはX線放射の強度変化が大きく、軟X線が超過したスペクトルを示すことが分かった。こうした特徴は、他の活動銀河や系内ブラックホール候補天体との類推から、ブラックホール近傍の質量降着が高い状態にあることを示唆している。さらに、可視スペクトルを用い、経験則に基づくブラックホール質量の推定も試みた。その結果、太陽質量の100万倍から10億倍の質量になるという結果を得た。また、この推定質量を用いて、通常の銀河や活動銀河が示すブラックホール-バルジ光度相関と比較したところ、その相関から系統的に外れ、銀河の規模(バルジの明るさ)に比べブラックホール質量が小さい範囲に分布することが分かった。
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