2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気ニュートリノ観測によるニュートリノ振動の精密測定
Project/Area Number |
03J10922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石塚 正基 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線 / ニュートリノ |
Research Abstract |
スーパーカミオカンデで観測された大気ニュートリノデータを用いて、「飛行距離/エネルギー」の関数として、ミューオンニュートリノの生存確率を調べる研究が行われた。この解析では、大気ニュートリノデータの中でも、特にその飛行距離、およびエネルギーが精度良く決まる事象のみが用いられている。測定の結果、「飛行距離/エネルギー」の関数として、大気ニュートリノ中のミューオンニュートリノの生存確率にニュートリノ振動から予言される「へこみ」が確認された。この観測された「へこみ」はニュートリノ振動以外の理論では説明することができない。この研究結果はミューオンニュートリノの生存確率が実際にニュートリノ振動から予言される正弦波分布に従う事を示した世界でも最初の証拠である。また、この「飛行距離/エネルギー」分布の測定により、ニュートリノ振動の許されるパラメータ領域に対し強い制限が与えられた。 このニュートリノの生存確率が実際に振動する、という研究結果は題目「Evidence for an Oscillatory Signature in Atmospheric Neutrino Oscillation」として2004年9月3日号に掲載されている。さらに、この研究成果は国際会議および日本物理学会等でも報告されている。 さらに、今年度はスーパーカミオカンデIにおける大気ニュートリノ観測による、天頂角分布を用いたニュートリノ振動解析の最終結果がまとめられ報告された。これらのスーパーカミオカンデにおけるニュートリノ振動の研究の結果は、大気ニュートリノ振動のパラメータに対し、現在、世界で最も強い制限を与えるものである。
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Research Products
(1 results)