2003 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的磁気リコネクションによる高エネルギー粒子加速の研究
Project/Area Number |
03J10971
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
銭谷 誠司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気リコネクション / 電流駆動不安定 / 粒子加速 / 電子・陽電子プラズマ / プラズマシート / パルサー風 |
Research Abstract |
相対論的磁気リコネクションと相対論的ドリフトキンク不安定という2つの現象に注目して、電子・陽電子プラズマシートの3次元の不安定構造と粒子加速プロセスを計算機シミュレーションで調べている。 相対論的ドリフトキンク不安定については、成長率などの理論計算を終え、成果の一部を論文にまとめ投稿した(投稿中)。また、T>>mc^2となるような超相対論的な条件では、リコネクション及びドリフトキンク不安定の性質は基本的に変わらないことが確認できている。これらの温度領域では、エネルギーを得たプラズマ粒子の質量が増えて自分自身の慣性スケールを延ばす、という過程が共通に成り立っているからである。 3次元プラズマシート問題については、シミュレーションコードを完成し、名古屋大学のスーパーコンピューターを用いて、随時、数値計算を進めている。これまでのところ、プラズマシートの厚さが一定以上の場合では成長率が速い2次元ドリフトキンク不安定が卓越し、結果的に磁場を拡散してしまうことがわかっている。 この結果は、リコネクション+αの加速過程によってより高エネルギーの粒子を生成する、という期待には反するものである。しかし、3次元プラズマシート構造の大局的な進化がドリフトキンク不安定による2次元的な磁場拡散で説明できている、という結果は、かに星雲問題などを解くにあたって、拡散過程を簡略化したパルサー風モデルを用いて良いことを示している。
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