2004 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的磁気リコネクションによる高エネルギー粒子加速の研究
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03J10971
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
銭谷 誠司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁気リコネクション / 粒子加速 / プラズマシート / 電流駆動不安定 / 電子・陽電子プラズマ / 相対論効果 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて、宇宙空間の相対論的電子・陽電子プラズマ内でのプラズマシート構造に注目し、系の線形・非線形発展とそれに伴う粒子加速を研究している。このようなプラズマシートでは、1)相対論的磁気リコネクションに伴って強い粒子加速が生じること、そして、2)リコネクションと直交する二次元平面で相対論的ドリフトキンク不安定が磁場を速く拡散すること、が申請者らの研究で明らかになっていた。 1)2)の両過程について、2次元粒子シミュレーションや相対論的二流体理論を用いて成長率を見積もった結果、プラズマ温度が相対論的な状況(T>>mc^2)ではドリフトキンク不安定がリコネクションより速く成長する傾向が明らかになった。そして、3次元の大規模粒子シミュレーションを行った結果、この予想の通り、相対論的ドリフトキンク不安定が卓越して磁場を散逸してしまうことが確認された。 ところで、宇宙空間では、磁場は常に反平行になっているわけではない。そこで、ガイド磁場という一様磁場成分を加えたプラズマシートを想定して、3次元の粒子シミュレーションを行った。その結果、ガイド磁場の張力でドリフトキンク不安定が安定化され、代わりに相対論的ドリフトキンク=テアリングモード(仮称)という斜め方向の不安定モードが生じることがわかった。また、プラズマシートでは向きの違う2つの相対論的ドリフトキンク=テアリング波が成長し、両者が干渉しあう点においてプラズマシートが薄くなって磁気リコネクションが発生し、強い粒子加速が生じることも明らかになった。これは「3次元系ではドリフトキンク不安定が卓越する」という理解を覆すとともに、磁気リコネクションの励起機構としても新しい発見である。
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Research Products
(1 results)