2003 Fiscal Year Annual Research Report
微小磁性体/半導体二次元電子系微細構造における輸送現象
Project/Area Number |
03J10993
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 正大 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 半導体二次元電子系 / 微小磁性体 / 空間変調磁場 / snake軌道 / 曲がり抵抗 / コンダクタンス揺らぎ / 量子ホール効果 |
Research Abstract |
微小磁性体の生じる漏れ磁場を利用して、二次元電子系細線に磁場勾配を持つ空間変調磁場を導入した系において、異なる4つの物理的視点で研究を行った。上向きと下向きの磁場が共存する勾配磁場中ではゼロ磁場の周りに電子がトラップされる。このsnake軌道の向きは勾配磁場の向きに依っていることから異方的な伝導を示すことが期待される。そこで、二次元電子系細線に勾配磁場を導入して直流バイアス電流を印加して微分抵抗を測定し、勾配磁場の向きによって有意な差が生じることを観測した。この現象の説明として、二次元電子系細線の境界における拡散的な散乱とバイアス電流を加えたことによる電子-電子散乱の複合効果によるモデルを提案した。次に、十字路型の試料に同様な勾配磁場を導入して曲がり抵抗を測定した。勾配磁場の向きによって曲がり抵抗は変化し、その振る舞いは半古典的なビリアードモデルにより半定量的に理解できた。位相緩和長とサンプルサイズが同程度になる十分低温では、様々なパスの重ね合わせであるコンダクタンスは平均化されずに磁場に対して揺らぐ(磁気コンダクタンス揺らぎ)。磁性体の漏れ磁場による勾配磁場に対してもコンダクタンスが揺らぐことを見出し、一様磁場の場合と勾配磁場の場合の振る舞いを比較した。その違いを、勾配磁場の場合には符号の異なる磁場によってトータルの磁束がキャンセルすることで説明した。最後に数テスラ程度の強い一様磁場を印加した量子ホール領域における空間変調磁場の効果を調べた。後方散乱が抑制されることにより量子ホール遷移領域の有限な縦抵抗が著しく抑制されることを観測した。また、この実験により量子ホール領域においても空間変調磁場が独立した制御パラメータとして有効であることを示した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 原 正大: "Transport in Ferromagnet/Semiconductor 2DEG Hybrid Network Structure"Physica E. 発売予定.
-
[Publications] 原 正大: "Transport in two-dimensional electron gas narrow channel with a magnetic-field gradient"Physical Review B. 発売予定.