2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面上III、IV族金属ナノ構造の低次元ダイナミクス
Project/Area Number |
03J11016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
守川 春雲 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電荷密度波(CDW) / フェルミ面マッピング |
Research Abstract |
1次元、2次元の低次元金属系では3次元金属系と比べて電子電子相互作用、電子格子相互作用が大きく、そのため、電荷密度波(CDW)に代表される特異な現象、相転移の発現が期待される。従来このような低次元系は電子状態に指向性のある3次元固体を用いて研究されてきたが、本研究では表面という直視可能かつ本質的な低次元系を用いて行う。 前年度の1次元金属系(In/Si-4xl系)に引き続き、今年度は2次元金属系であるPbまたはSn吸着GeまたはSi(111)表面上【square root】3×【square root】3相を対象とした。低温においてこれらの系で発現する3x3構造への相転移はCDW、秩序無秩序相転移の間で盛んに議論されており、表面物理のコミュニティーで最も盛んに研究されている現象の一つである。ところで2次元系の相転移の理解には系のフェルミ面の形状を知ることが必要不可欠である。そのため、まず、市販の光電子アナライザー、ステッピングモーター等を用いた「等エネルギー光電子強度マッピング装置」を自作した。そしてそれを用いて上記2次元金属系のフェルミ面を調べた。その結果、これらの系の電子状態は室温においても3x3周期に従っていることが明確に示された。 次に、これらの系の走査トンネル分光測定及び、端針間隔がμmオーダーのμ4端針を用いた温度可変表面電気伝導測定を行い、低温における3x3構造が金属的であることを示した。このことは金属絶縁体転移であるCDWの描像に反する。 以上より、3x3相転移は、電子状態の本質的な周期に起因する秩序無秩序的な相転移であることが決定された。 なお、今回開発された装置は、他の2次元金属系(Ag/Ge,Au/Ge)にも応用され、最も典型的な2次元金属系であるSi上の類似相との比較研究も併せて行われた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Reversible structural transitions at the one-monolayer Tl/Si(100)2 x1 interface
Author(s)
A.A.Saranin, A.V.Zotov, I.A.Kuyanov, V.G.Kotlyar, M.Kishida, Y.Murata, H.Okado, I.Matsuda, H.Morikawa, N.Miyata, S.Hasegawa, M.Katayama, K.Oura
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Journal Title
Physical Review B (in press)