2003 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ生成過程の分子動力学法シミュレーション
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03J11043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澁田 靖 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Molecular Dynamics Method / Single-Walled Carbon Nanotubes / Nucleation / Density Functional Theory / Transition Metals |
Research Abstract |
1993年,飯島らによって単層カーボンナノチューブ(SWNT)が発見され,さらにSmalleyらによるNi/Co添加黒鉛を用いたレーザーオーブン法によるSWNT大量合成や,Ni/Y添加黒鉛のアーク放電法による選択的SWNT多量合成が報告されて以来,SWNTはナノテクノロジーの代表的な新素材として注目を浴びている.また最近ではこれらの方法に加え,炭化水素やアルコール等を原料とした触媒CVD法によって,より安価で大量なSWNT合成が可能となりつつある. SWNTの生成機構の解明は,理論的に極めて興味深いとともに,大量,高純度かつ直径やカイラリティまでも制御したSWNT生成に向けて非常に重要である.これまで主に実験結果に基づき,様々な生成機構が提案されているが,理論的なアプローチは,現象の一部のみに着目したものが多く,実際の実験系との対応関係の考察が不十分なものが多い.本研究では長時間,大規模な計算が可能な,古典分子動力学法によって,SWNTの生成過程を直接分子シミュレートし,その生成初期機構について考察した.まず,代表的なSWNTの生成手法である触媒CVD法の生成初期過程をシミュレートし,その生成プロセスについて考察した.さらに,触媒の種類の違いによってSWNTの生成量が大きく変化する理由を考察するため,密度汎関数法(DFT)による小型クラスターの量子化学分子軌道計算に基づき,新たに,Fe,Co,Niと炭素との相互作用の違いをできるだけ簡便に表現できるポテンシャル関数を構築し,触媒金属クラスターと炭素の凝縮過程の分子動力学法シミュレーションを行った.このシミュレーションにより,Feに比べCo,Niクラスターのグラファイト化作用が強いこと分かり,触媒金属毎の炭素をグラファイト化する作用の違いが,SWNT生成触媒能の因子の一つであるという知見を新たに得ることができた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Shibuta, S.Maruyama: "Molecular Dynamics in Formation Process of Single-Walled Carbon Nanotubes"Heat Transfer-Asian Research. 32-8. 690-699 (2003)
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[Publications] Y.Shibuta, S.Maruyama: "Molecular dynamics simulation of formation process of single-walled carbon nanotubes by CCVD method"Chemical Physics Letters. 382. 381-386 (2003)