2003 Fiscal Year Annual Research Report
先進的細胞操作用マイクロマニピュレーションシステムに関する研究
Project/Area Number |
03J11055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚田 修大 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞操作 / マイクロマニピュレーション / 静電気力 / 微小電極 / マイクロピペット / 卵細胞 / 人工授精 / 核移植 |
Research Abstract |
本研究は人工授精やクローン動物作製の際に行われる核移植などの細胞操作を完全に自動化する,細胞操作用マイクロマニピュレーションシステムの開発を目的としている.今年度は本システムの要素技術である,静電気力を利用した細胞回転機構,細胞へのマイクロピペット挿入機構に関する研究を行った. 静電気力による細胞回転機構に関しては,細胞の3次元的に任意な方向の回転操作を実現するのに最適な微小電極の配置を検討した.微小電極の配置の方法として2つのパターンを検討した.その1つはリソグラフィープロセスによって薄膜微小電極を取り付けたガラス基板2枚で,細胞を上下から挟み込むものである.この場合は,微小電極の先端形状は円状であり,一枚のガラス基板に対して4つの微小電極を配置したものが,もっとも効率よく細胞に対して静電気力を発生できることがわかった.もう1つの微小電極の配置パターンは,細胞を保持するガラス製のマイクロピペット,および細胞に挿入するガラス製マイクロピペットそれぞれに対して,真空蒸着によって微小電極を取り付けるものである.この方法を用いれば,個々の細胞に対して微小電極の位置をそれぞれ変えることができるため,操作の自由度を高めることができる.これら両方の微小電極の配置パターンによって,細胞の回転操作を実現することに成功した.また,ガラス基板に取り付けた薄膜微小電極とマイクロピペットに取り付けた微小電極を組み合わせることで,擬似細胞として用いた微小ポリスチレンビーズの回転操作を実現した. マイクロピペット挿入機構に関しては,機構を設計する際に必要となる細胞の機械的物性,およびピペットを挿入する際に細胞に加わる力の測定,解析を行った.石英ガラスの薄板のたわみを利用した微小力測定センサを作製し,それを利用してマウス卵細胞,ブタ卵細胞の機械的物性,マイクロピペットを押し当てたとき,またマイクロピペットを挿入したときに細胞に加わる力を測定した.この結果,マウス卵細胞にマイクロピペットを押し当てたときには0.1μNオーダーの力が加わっていることを確認した.
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Research Products
(1 results)