2004 Fiscal Year Annual Research Report
ケルビンプローブフォース顕微鏡を用いた半導体ナノ構造の表面物性計測
Project/Area Number |
03J11076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 志亜之 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ケルビンプローブフォース顕微鏡 / KFM / ナノプローブ / サンプル・ホールド / InAs / GaAs / 量子ドット |
Research Abstract |
静電引力の探針・試料間距離変化による影響を抑えながらポテンシャル測定を行う方法を提案することを目指し,タッピングモードAFMをベースとしたKFMのポテンシャルフィードバック回路にサンプル・ホールド回路を挿入するKFM測定系を提案した.このシステムは構成が簡単で取り扱いも比較的容易であるにもかかわらず,ポテンシャル計測においては実質的にNC-KFM並みかそれ以上の高空間分解能の計測が可能になることを指摘した。実際に測定系を組んでInAs量子ドットに対してポテンシャル計測を行い,ドット内部やその周辺のwetting layer部分に同心円状のポテンシャル分布を観測した.このポテンシャル測定における空間分解能は10nm以下と見積もられ,タッピングモードAFMベースとしては世界トップレベルのポテンシャル測定の空間分解能を実現した.さらに,今回提案したKFM測定系では試料・探針間に印加する交流バイアスの振幅が10mVp-p程度まで抑えられ,試料表面の電子分布やポテンシャル分布に与える影響を最小限に抑えられることもわかった.なお,一連の研究でサンプル・ホールド回路を用いるうちに,それがタッピングモードAFMの測定速度の向上に利用できる可能性を見出し,実際にサンプル・ホールド回路を市販のAFMに組み込んだところ,スキャン速度の向上を実現するという思わぬ収穫も手にすることができた. 以上,本研究を通じ,KFMにおけるポテンシャルの測定精度を高めるためには,試料の清浄化や探針・試料間の距離,特にタッピングモード,あるいはノンコンタクトモードなどAFMの動作モードについて考慮することが重要であることを明らかにし,さらに,サンプル・ホールド回路を用いたKFMフィードバックシステムを提案するなど計測手法としてのKFMの性能向上を図った.
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Research Products
(4 results)