2004 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント伝導における動的相転移とその微視的機構
Project/Area Number |
03J11091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 直毅 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 電荷密度波 / 走査プローブ顕微鏡 / 光物性 |
Research Abstract |
ブルーブロンズ(A_<0.3>MoO_3)に対する光照射を用いた内部自由度の変調と定常-パルス電場の組み合わせによる伝導測定により、CDW系試料において低温で観測される様々な共同現象が、熱励起された準粒子によるスクリーニングの減少により内部変形の自由度が弾性的なものから塑性的なものに変化したためであることを明らかにした。またパリ大学のS.Brazovskii教授との共同研究による数値シミュレーションにより、低温におけるCDWの伝導が、その周期性と弾性・塑性変形の競合による一種の位相スリップ‘CDW dislocationの生成'とその移動・増殖によって説明できることを示し、また光励起による伝導の変調が、‘位相スリップの遷移確率の変化'として導入できる可能性を示唆した。さらにバルク試料と表面電極の組み合わせにより生じる伝導の不均一性の見積もりを行った。これらの機構を確認するには、局所領域での光学測定に加え、微視的に周期性の変化を伴ったCDWの伝導を実空間で観測する必要がある。このため、透過配置での光学測定と走査型プローブ顕微鏡観測に適した薄膜試料(Rb_<0.3>MoO_3配向多結晶薄膜)をPLD法によって作製した。これら試料の測定のため、カルフォルニア大学アーバイン校W.Ho教授グループとの共同研究のもと、Besocke type原子分解能SPMとレーザー光源の組み合わせによる局所光励起実験系の構築を行った。
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Research Products
(2 results)