2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子ドットを用いたフォトリフラクティブ素子の研究
Project/Area Number |
03J11100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 政宏 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フォトリフラクティブ素子 / MOCVD法 / InGaN / InGaN多重量子井戸構造 |
Research Abstract |
本研究は量子ドットの特性を活かし、高速かつ高空間分解能のフォトリフラクティブ素子を開発することを目的とする。そして、その過程で窒化物半導体を用いた量子井戸構造および量子ドットにおけるフォトリフラクティブ効果を世界に先駆けて発現し、それらの特性評価を行うことを目的としている。 平成15年度は主にmetalorganic chemical vapor deposition(MOCVD)法を用いたInGaN/InGaN多重量子井戸構造および薄膜の結晶成長とその光学特性およびそのデバイスとしての基本動作特性の評価を行った。材料として窒化物半導体を選択した理由は二つある。この材料でのフォトリフラクティブ効果は未だ報告されておらず未開の材料であったこと。そして、従来の半導体フォトリフラクティブ素子は外部電界を印加して動作させることが基本であるが、窒化物半導体ヘテロ構造には強い内部電界が存在することに注目し、フォトキャリアによりその内部電界の大きさを光制御することで電極不要の簡便な素子を実現できるという可能性を秘めている。 フォトリフラクティブの効果とは、結晶に光を照射することによって結晶内部に吸収係数および屈折率分布を生じる現象である。そのためフォトリフラクティブ素子の実現の第一段階として選択した材料の光誘起吸収へんかを調べた。そして、素子の性能を最大限に引き出すためには動作の基本となる物理現象詳細に理解し、最適な構造を次のとおり見出した。 MOCVD法により様々な井戸厚を持つInGaN/InGaN多重量子井戸構造を作製し各構造においての光学特性評価とキャリアダイナミクスについての研究を行った。主な評価法にはフェムト秒過渡吸収分光法を用い、過渡的な光誘起吸収変化を観測した。パルス光励起により生成されたフォトキャリアが引き起こす内部電場の遮蔽が吸収スペクトルの変化となって現れる様子が観測され変化の井戸厚に依存することを確認した。素子の構造として最適と思われるInGaN層膜厚を決定した。
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