2003 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ流の自己組織化に関する理論・シミュレーション研究
Project/Area Number |
03J11122
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼田 龍介 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プラズマ流 / 自己組織化 / 二重ベルトラミ平衡 / Hall MHD / 非線形シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は、圧縮性Hall-MHD方程式を解析するシミュレーションコードを開発、動作検証し、二流体プラズマの緩和過程のダイナミクスを解析した。Hall-MHD方程式系においては、Hall効果を高次の非線形特異摂動として二重ベルトラミ平衡と呼ばれる強い流れを持った平衡が自発的に形成されることが理論的に予測されている。数値シミュレーションによって、二流体プラズマの平衡状態においては、磁場に直交する方向の流れが形成されるという結果が得られた。また、平衡状態にいたる緩和過程は一般に、エネルギーやヘリシティーなどの理想的極限(散逸がゼロの極限)における運動の保存量を用いた変分原理によって説明されるが、二流体プラズマにおいては、エネルギーではなく、乱れの大きさを測る一般化されたエンストロフィーを最小化する変分が適切であるという理論的予測を検証した。緩和過程において、運動の保存量は、散逸の効果によって二重ベルトラミ平衡を形成するように適切な修正を受ける。プラズマの緩和過程の理論的枠組において、磁場に直交する方向の流れは、一流体MHD方程式からは得られない、二流体プラズマに特有の性質である。このことは、二流体プラズマにおける運動の保存量であるイオンのヘリシティーによって説明される。二流体プラズマにおいては、Hall効果によって、イオンのヘリシティーが保存量として存在するが、イオンのヘリシティーは、一流体プラズマにおいてはクロスヘリシティーに対応する。クロスヘリシティーを用いた変分からは、磁場に平衡方向の流れのみが得られ、磁場に直交する方向の流れは存在し得ない。このことから、二流体プラズマにおける磁場に直交する流れの存在は、Hall効果に起因しているということが結論づけられる。
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