2004 Fiscal Year Annual Research Report
紫外レーザーを用いた顕微超高分解能光電子分光法の開発と新規超伝導体の電子状態研究
Project/Area Number |
03J11145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
津田 俊輔 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光電子分光 / 新規超伝導体 / 超伝導ギャップ |
Research Abstract |
本年度は顕微光電子分光を行う前段階として紫外レーザーを用いた光電子分光研究を行った。対象として新規超伝導体であるMgB_2に炭素置換を施したMg(B_<1-x>C_x)_2と層状窒化物超伝導体ZrNCl_<1-x>を選んだ。MgB_2は約40Kという高い超伝導転移温度を持つ。これまで2種類の異なる対称性を持つフェルミ面上で異なる大きさの超伝導ギャップが開いていることが明らかにし、その成果を昨年度発表した。MgB_2の超伝導転移機構は電子格子相互作用によるものと考えられてきているが、格子振動を乱すことで超伝導特性、特に超伝導ギャップにどのような影響が現れるかを調べるためにMg(B_<1-x>C_x)_2を用いて研究を行った。その結果、炭素置換により大きな超伝導ギャップには急激に減少し、小さいギャップはほとんど影響を受けないことがわかった。また、2つのギャップの炭素置換量依存性と温度依存性から2ギャップモデルで解析した結果、バンド間の相互作用が炭素置換により増加していることがわかった。この成果は"Carbon-substitution dependent multiple superconducting gap of MgB_2: a "sub-meV" resolution photoemission study"としてPhysical Review B誌に投稿しており、現在査読中である。 ZrNClはバンド絶縁体であるが、Clを欠損させることにより最高で約13Kの転移温度を持つ超電導物質になることが知られている。Nの同位体置換効果の研究から、従来型BCS超伝導体とは異なる結果が得られており、その超伝導転移起源は現在のところわかっていない。紫外レーザーを用いた光電子分光法により、N同位体置換効果を調べた。超伝導ギャップに関してはまだ確かな情報を得るにはいたっていないが、格子振動に関連した構造とそのN同位体置換効果を観測した。
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Research Products
(1 results)