2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11153
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宗宮 健太郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 重力波 / 干渉計 / 量子非破壊計測 / 帯域特化 / 制御 / 光学 / プロトタイプ実験 / 自由質点 |
Research Abstract |
20世紀初頭にアインシュタインによって存在を予言された重力波は、その信号の微小さゆえ未だに直接検出に成功していない未知の物理である。本研究は、数年後に建設を予定している高感度検出器でこそ重力波を検出するべく、高感度化に必要不可欠な帯域特化という技術を開発するものである。重力波検出にはマイケルソン干渉計が用いられるが、従来の干渉計構造のままでは、地面振動や熱雑音などさまざまな雑音を除去しても、ハイゼンベルグの不確定性原理から決まる標準量子限界というレベル以上の高感度化は不可能であった。しかし、この帯域特化という技術を導入すると、重力波による位置の微小信号が光の輻射圧による運動量に変換されるため、位置の精確測定によるバックアクションが回避され、標準量子限界を破ることが可能になる。量子非破壊計測を直に確認するたあには、大掛かりな装置で量子雑音以外の全ての雑音を除去しなければならないが、輻射圧により信号が増幅される現象を確かめられさえすれば、標準量子限界を破ることは自明であるとも言えるので、本研究では電磁力による仮想的な重力波に対する干渉計の応答を測定して輻射圧信号を確認することにした。国立天文台内に4mのプロトタイプ干渉計を建設し独自に開発した手法で、複雑な4つの自由度を同時に制御することに成功した。輻射圧信号の測定のためには干渉計を形成する光学素子が振り子に吊られて自由質点となっていることが必要で、自由質点でかつ帯域特化した干渉計の動作というのは世界初の快挙となる。そして、干渉計の応答を測定し、輻射圧信号を確認することに成功した。本研究の成果は来るべき大型干渉計での重力波検出計画に向けて大きな指標となることは間違いない。
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Research Products
(1 results)