2004 Fiscal Year Annual Research Report
二座配位型ホウ素化合物によるルイス酸の新規活性化法とこれを利用する新反応の開発
Project/Area Number |
03J11185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 輝伸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジカチオン化合物 / アニリン / ベンジジン / ジアリールエーテル / トリアリールスルホニウム塩 / ラジカルカチオン / 酸化的カップリング |
Research Abstract |
前回までに、ナフタレンの1,8位にジフェニルメチリウム部位をもつジカチオン化合物の新しい合成法を見出している。そこで本年度は、ジカチオン化合物を2電子酸化剤として用いて種々の酸化反応を試みた。 まず、ナフタレンで架橋されたジカチオン化合物とビフェニルで架橋されたジカチオン化合物の反応性の差を比較するために、エノラートにそれぞれのジカチオンを作用させたところ、ナフタレンで架橋されたものはエノラートとの酸化的カップリングを進行させるのに対し、ビフェニルで架橋されたものでは、反応系が非常に複雑になった。この結果より、ナフタレンで架橋されたジカチオン化合物が求核種に対しても酸化剤として働くことを明らかにした。そこで、エノラート以外の求核種としてアニリン類を選び、ジカチオンをN,N-ジアルキルアニリンに作用させたところ、アニリンの酸化的カップリングが進行し、ベンジジンが高収率得られることを見出した。特にアニリンの3位や5位に置換基を有するものほど収率良くカップリングが進行する。また、フェノール類と4-フェニルチオ-N,N-ジアルキルアニリンにジカチオン化合物を作用させるとフェノキシ基とフェニルチオ基のイプソ位置換が進行してジアリールエーテルが低温かつ短時間で合成できることを見出した。この反応はラジカル的に進行していると考えられ、ジカチオン化合物はフェノール類の酸化にも適用できることが明らかになった。さらに、4-フェニルチオ-N,N-ジアルキルアニリンは、ジカチオンで酸化すると安定なラジカルカチオンを生じ、そこに4-ジエチルアミノフェニルスズ化合物を作用させると硫黄原子上へのフェニル基の付加が起こり対応するトリアリールスルホニウム塩が高収率で得られることを見出した。
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Research Products
(1 results)