2003 Fiscal Year Annual Research Report
高速かつ高精度なCarParrinello分子動力学法の開発
Project/Area Number |
03J11216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 宗明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 密度汎関数法 / 数値積分 / 自己相互作用補正法 / 時間依存密度汎関数法 / 線形スケーリング |
Research Abstract |
高速かつ高精度なCar-Parrinello分子動力学法を実現するに必要な、高精度な電子状態計算と高速な計算プログラムの開発という二つの視点により研究を行った。 1 領域的自己相互作用補正法の開発 自己相互作用誤差とは、本来打ち消されるべきCoulomb自己相互作用の効果が残ってしまうための誤差である。従来のDFTの交換汎関数は必ずこの誤差を含んでおり、DFTによる反応障壁過小評価の原因はこの交換汎関数の自己相互作用誤差であるとされてきた。この誤差を解消するため、様々な自己相互作用補正(SIC)法が提案されてきたが、未だ決定的な方法は提案されていない。そこで自己相互作用に支配された空間領域を見つけ出し、その部分のみ交換自己相互作用エネルギーを補完する領域的自己相互作用補正(RSIC)を開発した。このRSIC法を様々な化学反応の反応障壁計算に適用した結果、DFTによる化学反応障壁エネルギーの過小評価の原因が、交換汎関数の自己相互作用領域での交換エネルギーの再現性に問題があることを確認できた。 2 高速数値積分プログラムの開発 密度汎関数における数値積分においてボトルネックとなるのは電子密度とFock行列を生成する部分でありスケーリングは系の3乗である。しかしながら通常用いられるGauss型基底関数は空間的に局在しているので、各数値グリッド上で値を持つ基底関数の数は限られる。そこで縮約した球面平均Gauss型既定関数を用いることでこの数を効率的に求めるルーチンの開発を行い、スケーリングが線形となるプログラム開発を行った。また大きなメモリー空間と高度なマルチスレッド化という近年のコンピュータの特性に合致するようなプログラム開発も同時に行った。この数値積分ルーチンをプログラムパッケージUTChemに実装し、時間依存密度汎関数法による励起状態プログラムにも適用した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Tuneda, M.Kamiya, K.Hirao: "Regional self-interaction correction of density functional theory"Journal of Computational Chemistry. 24. 1592 (2003)
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[Publications] T.Yanai, H.Nakano, T.Nakajima, T.Tsuneda, S.Hirata, Y.Kawashima, Y.Nakao, M.Kamiya, H.Sekino, K.Hirao: "UTChem-A Program for ab initio Quantum Chemistry"Computational Science -ICCS 2003, Lecture Notes in Computer Scienc (Springer). 84 (2003)