2003 Fiscal Year Annual Research Report
情報認識膜を用いた新陳代謝可能材料の設計と細胞脱着機構の解明
Project/Area Number |
03J11229
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡島 周平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 細胞 / 情報伝達 / イオン / ゲル / 炎症 / 新陳代謝 / 培養 / 紫外線 |
Research Abstract |
生体では情報伝達シグナルにより細胞内外の特定イオンや物質の濃度を調節することが可能である。人工膜中にセンサー(包接ホスト)やアクチュエーター(環境応答ゲル)を組み合わせ、細胞からのシグナルを認識することを試みる。 本研究では、この情報シグナル認識機能を人工代謝機能へと応用した新規なハイブリッド型人工臓器を提案する。情報認識膜の表面に細胞を成長させる。細胞の一部が死滅すると全体の細胞へ悪影響を与え(生体では炎症など)、機能を維持できない。多くの細胞はカリウムポンプにより細胞内でカリウム濃度が高い状態を維持している。通常、細胞内部でのカリウムイオン濃度は4000ppmであり、血漿中の濃度は200ppmである。細胞が死滅すると細胞膜が破壊されカリウムイオンが外部へ流れ出す。膜がこの情報物質を認識し死滅細胞近辺だけポリマー鎖が膨潤し親水化すると、死滅細胞近辺の細胞が表面から剥がれる。さらに膜細孔も閉じ細胞質は透過側へは流れでない。拡散によりカリウムイオン濃度が低下するとポリマー鎖は収縮し、初めの状態と同じように細胞が増殖し細胞組織を再構成する。これを繰り返すことにより、常に組織は新しい細胞と代謝され、長期間機能を維持する。 本年度は、提案したシステムの実現に成功した。昨年度までに開発した細胞培養膜上に培養した細胞に、紫外線照射により細胞を死滅したところ、死んだ細胞が選択的に系からはがれることを確認した。また、その新陳代謝システムでは、細胞が培養され、死滅部分が素早くリペアされることも確認した。
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