2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣瀬 靖 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 液体界面 / フェムト秒レーザー / 分子間相互作用 / 非線形分光法 / コヒーレント振動分光法 / 超高速ダイナミクス / 低波数振動スペクトル |
Research Abstract |
本研究の目的は、液体界面の低波数領域(0〜数百cm^<-1>)の振動スペクトル(低振動スペクトル)を測定するための計測法を開発し、液体界面における分子の集団運動や分子集合体の構造と分子間相互作用の関係を明らかにすることである。そのための手法として、コヒーレント振動分光法と第二高調波発生法を組み合わせた新たな測定法を考案し、極短パルスレーザーを光源とする測定装置の作製を行っている。本年度は装置作製における重要な課題の一つである測定周波数領域の拡大に取組んだ。高周波数領域の感度低下の原因であるレーザーパルスの時間幅の広がりを補正するために回折格子対とプリズム対を用いた光学系を導入した。半導体表面の格子振動の測定により観測周波数領域を評価したところ、これまで0〜150cm^<-1>であった観測周波数領域を約2倍の0〜300cm^<-1>まで拡大することに成功した。これにより、液体中の分子の並進・回転運動に加えて水素結合などを介したメソ構造を鋭敏に反映するphonon-likeな振動運動を観測することも可能となった。これは水やアルコールといった水素結合性液体の表面・界面における特異的な構造や物性(極性・粘性)の起源を議論するうえで重要な手がかりを与える。さらに、液体界面の測定に向けた装置の高感度化についても検討した。光学系を一般的なポンプ-プローブ配置から過渡格子光学配置へと改良することを着想した。過渡格子光学配置では従来の測定において感度低下の大きな原因となっていたプローブ光の第二高調波の強度揺らぎの影響を除くことができるため、大幅な感度の向上が期待できる。
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