2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロチップ技術を用いた生物活性物質検出システムの開発
Project/Area Number |
03J11302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 紳一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | マイクロチップ / 落射型蛍光分析装置 / 細胞 / ヒスタミン / 膜保持 / 機能集積 / PDMS / 微小空間 |
Research Abstract |
本年度の研究実績として、まず、昨年度開発したマイクロチップ分析に用いる落射型蛍光傾向分析装置の改良を行った。具体的には、遮光用試料室蓋の設計および加工と位置調整用可動ステージの作製を行った。これらを行うことで、マイクロチップ分析に適した高感度・高精度分析装置への改良に成功した。 次いで、PDMSマイクロチップ中にラット由来肥満細胞を導入したヒスタミン検出システムを用いて実際の応用例を検討した。具体的には、化学的刺激剤C48/80を用いたヒスタミン遊離試験、および遊離抑制剤DSCGを用いたヒスタミン遊離抑制試験を行い、開発したマイクロチップの有効性を検証した。特に本システムでは、細胞数を従来方法の1/1000程度まで低減でき、機能集積を行った結果、アッセイに必要な時間を約半分にすることに成功した。 また、開発した細胞膜保持チップに他の浮遊系細胞種を導入し、細胞蛍光染色測定および遊離物質の蛍光分析システムの検討を行った。特に、細胞の蛍光染色を直接観察するシステムとして、保持膜に透明濾過膜を採用することで、細胞の活性を保持したまま染色および観察をマイクロチップ上で行えるシステムとした。さらに、遊離物質の蛍光分析との組み合わせにより、同一細胞の多角的機能解析を行える機能集積型システムとした。 最後に、最終研究年度として本研究を総括し、今後の研究展望について検討した。本研究の遂行によって、生命科学分野でも容易に利用することの可能なマイクロチップ技術を開発、提案することができ、所属研究室を中心に、開発した要素技術の活発な利用がなされている。また、微小空間における流れ分析を利用した本システムでは、生命現象の経時的変化を高感度に捉えることが可能であり、より現実に近い生体反応を評価することが可能と考える。これらの成果を利用して、臨床分野、創薬、生化学研究などへの応用展開が今後の課題であると考える。
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Research Products
(6 results)