2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11321
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒木 信一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 細胞間隙 / X線マイクロCT / 3次元画像再構築 / キュウリ果実 |
Research Abstract |
植物の体内に遍在している空気間隙は、組織内外へのO_2およびCO_2の供給・排出の通路となり、植物体内におけるガス拡散の場として非常に重要な役割を果たしていると考えられているが、空気間隙の詳細な空間構造については未だ明らかにはされていない。そこで本研究では、ミクロンオーダーの画像取得が可能である、X線μCTを用いたマイクロトモグラフィー技術の利用により、植物体内における空気間隙の空間情報を取得することを目的とした。供試材料にはキュウリ果実を用い、貯蔵条件は20℃、飽和湿度の環境下で5日間とした。X線μCTの空間分解能は2.48μmであった。 取得された断層画像により、空気間隙はキュウリ果肉組織内に広く分布し、かつ隣接する空気間隙と相互に連絡していることが認められた。また、得られた連続的な断層画像より、3次元画像を再構築し、空気間隙の空間構造を可視化した結果、空気間隙はキュウリ果肉組織内において内部連結し、非常に複雑なネットワーク構造を形成していることが明らかとなった。一方、空気間隙は組織内で完全に連絡しているわけではなく、部分的に分断されていることが観察された。これにより、キュウリ果実組織内のアポプラスト中を移動するガスは気体中のみならず液体中をも通過しなければならないことが明らかとなった。さらに、貯蔵1日目および5日目における空気間隙のサイズ分布の計算を行った結果、収穫後の時間経過に伴い、キュウリ果肉組織内の空気間隙の細分化が進行することが明らかとなった。以上、本研究ではX線μCTの利用により、キュウリ果肉組織内に存在する空気間隙を3次元的に可視化すると共に、収穫後の時間経過に伴う空気間隙の空間構造の経時変化を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 黒木信一郎, 大下誠一, 五月女格, 川越義則: "X線CTによるキュウリ果肉組織内空気間隙のマイクロイメージング"農業環境工学関連4学会2004年合同大会 講演要旨. (2004)