2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日高 將文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線結晶構造解析 / 加リン酸分解酵素 / 糖質関連酵素 / 構造機能相関 / 糖鎖工学 |
Research Abstract |
糖鎖の伸長、分解に関連する酵素は、アミノ酸配列の相同性に基づいて5つの群、100以上のファミリーに分類されているが、多くのファミリー間で立体構造の相同性が見出されている、本研究は、糖質関連酵素の立体構造を解明することで、ファミリー間の構造機能相関を明らかにすることを目的としている。本年度は当初、構造未知の糖転移酵素群ファミリー36(以下GT-36)をターゲットとして、GT-36に属する数種の蛋白質の結晶化条件の探索を主な目的としていた。そのうち、まずVibrio proteolyticus由来キトビオースホスホリラーゼ(以下ChBP)について結晶化に成功した。この結晶を用いて、セレノメチオニン置換体を用いた多波長異常分散法によりChBPの立体構造を分解能1.8Åで明らかにした。ChBPの立体構造は興味深いことに既知の糖転移酵素と全く異なり、数種の糖加水分解酵素と有意な相同性を示した。この結果は、ChBPを含むGT-36が本来加水分解酵素群に分類されるべきであることを示している。この結果を踏まえて糖質関連酵素の分類を行っているB.Henrissat博士と討論した結果、GT-36は加水分解酵素群ファミリー94としで再分類されることが決定した。立体構造を基に糖転移酵素群から加水分解酵素群への再分類が行われるのは今回が初めての例である。 また、ChBPとGlcNAc(基質)、および硫酸イオン(基質アナログ)との複合体構造を明らかにした。これらの基質複合体構造は、触媒反応の前後でアノマーの反転を伴う反転型加リン酸分解酵素で初めての報告である。この結果、反応機構に関して既知の加水分解酵素との相違点を見出し、非常に興味深い知見を得ることができた。これらめ結果は、科学誌Structureに採録が決定しでいる。
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[Publications] Hidaka, M., Honda, Y., Kitaoka, M., Nirasawa S., Hayashi, K., Wakagi, T., Shoun, H., Fushinobu, S.: "Chitobiose phosphorylase from Vibrio proteolyticus, a member of glycosyl transferase family 36, has an (α/α)_6 barrel fold like clan GH-L"Structure. Accepted. (2004)