2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11334
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 美善 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | VDR / ビタミンD / クロマチンリモデリング複合体 |
Research Abstract |
活性化ビタミンD_3をリガンドとするビタミンDレセプター(VDR)はDNA結合性の転写制御因子であり、リガンド結合によって標的遺伝子の発現を正負に調節している。ビタミンD正の制御メカニズムに関する研究はある程度明らかになっているものの負の制御メカニズムに関しては未だに不明点が多い。 我々はビタミンDのVDRを介した負の転写制御メカニズムに興味を持ち、以前当研究室で単離したビタミンD生合成の鍵酵素であるビタミンD_31α水酸化酵素(1α(OH)ase)遺伝子のプロモーター上に負の応答領域(1α-nVDRE)を同定した。1α(OH)ase遺伝子発現における転写抑制遺伝子として働くbHLH転写因子VDIRを単離した。また、更なる解析により、1α,25(OH)2D3非存在、PKA存在下にはVDIRがリン酸化を受け、更にco-activatorであるp300と複合体を形成するとにとり、1α(OH)ase遺伝子の転写活性を上昇することを明らかにした(Murayama et al., EMBO J.in press)。一方、当研究室では転写共役因子複合体の一つとして、VDRにリガンド非依存的に結合する新規ATP依存性クロマチンリモデリング複合体WINACを精製・同定した。さらに、この複合体がビタミンDによる1α(OH)ase遺伝子の発現抑制に対して、NCoRタンパクを含むHDAC複合体と協調的に働いていることを報告した(Kitagawa et al., Cell,113,905-917,2003)。一方、1α(OH)ase遺伝子は主に肝臓で発現すると知られており、体内のCaや活性型ビタミンDに反応し、その発現が精巧に制御されている。特に腎臓の近位尿細管においては活性型ビタミンDによりフィードバック反応により発現が抑制される。酵素の基質特異性やプロモーター機能解析から、腎臓特異的な転写制御機構解明が期待される。
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