2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類による性ステロイドホルモン撹乱作用の分子作用機構の解明
Project/Area Number |
03J11335
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大竹 史明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ダイオキシン / エストロゲン / エストロゲンレセプター / 転写調節 |
Research Abstract |
ダイオキシン類は発癌作用、免疫異常など多様な毒性を示し、これらの毒性作用の一つとして子宮内膜症の増悪の可能性など、主要な女性ホルモン・エストロゲン作用に対する撹乱作用の可能性が指摘されている。しかしその毒性の分子作用メカニズムは不明である。 そこで我々は両者のレセプターが転写制御因子であることに着目し,ダイオキシン類によるエストロゲン撹乱作用の分子メカニズムを明らかにすることを目的として解析を行っている。まず,ERα,ERβを介した転写調節過程に対するAhR/Arntの作用、及び両者のレセプター間の相互作用の可能性を検討した。Ahr ligandとして3-Methylcholanthrene(3MC)を用いた。ERの転写促進能を解析したところ、3MC結合AhR/ArntがERα,ERβを介し、E2非存在下でも転写を促進することを見い出した。さらにこの際AhR/Arntが3MC依存的にERα,ERβと複合体を形成することを見い出した。更に3MCのエストロゲン撹乱作用をレセプター遺伝子欠損マウスにて検討した。卵巣摘出マウスに3MCを投与し、子宮重量増減及び標的遺伝子の発現量を検討したところ、E2非存在下で3MCがエストロゲン作用を示すことを見い出した。以上、3MCの結合したAhR/ArntはDNAに結合したERα,ERβと複合体を形成することで、エストロゲン非存在下でも標的遺伝子を誘導すると考えられた。これらの結果から、ダイオキシン類の作用の一部がERを介したエストロゲンの作用経路を介して発揮される可能性を示した。今後、このクロストーク経路がAhRの生理的機能に関与している可能性や、リガンド種による異なる機能調節の可能性に興味が持たれる。また、このクロストークにおける転写制御過程の詳細解明のためにAhR/Arntに作用する転写共役因子複合体の精製を試みることを視野に入れている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ohtake F, Takeyama K, Matsumoto T, Yanagisawa J, Kato S: "Modulation of oestrogen receptor signaling by association with the activated dioxin receptor."Nature. 423・6939. 545-550 (2003)