2003 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光指紋法及び成分分布立体計測法に基づく残留農薬・牛海綿状脳症安全性評価法の開発
Project/Area Number |
03J11354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蔦 瑞樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光指紋 / 内部構造 / 成分分布 / 立体計測 / 安全性評価 / 主成分分析 / 大豆 / コショウ |
Research Abstract |
蛍光指紋(または励起・蛍光マトリックス)は、励起波長、蛍光波長、蛍光強度の3軸からなる等高線状のグラフで、成分に固有の特性を示す。水質検査における汚染物質同定などに利用されているが、食品に応用した研究は数少ない現状にある。そこで今年度の研究においては、食品の各部位で蛍光指紋を計測・解析し、食品の内部構造・成分分布を衛立体的に計測する手法の開発を行った。具体的には、計測システムとして、「3次元スペクトルイメージングシステム」を新規に開発した。本システムを用いることにより、試料の各部位において、励起波長200〜1,000nm、蛍光波長400〜1,100nmの範囲で蛍光指紋を計測可能である。また、主成分分析によるデータ圧縮と、主成分得点に基づいた画像データの彩色により、蛍光指紋特性に基づき、試料中の内部構造・成分分布を可視化する手法を開発した。本システムと可視化手法を用い、大豆試料を計測した結果、アリューロン層、胚および葉脈状の構造が可視化された。また、様々な発芽過程における大豆の内部構造を可視化した結果、発芽過程において、大豆各部位の形状だけでなく、その含有成分も変化することが示唆された。さらに、γ線照射による殺菌処理を経たコショウを計測した結果、γ線照射によってその蛍光指紋特性が変化することが明らかとなり、蛍光指紋計測による簡易・迅速なγ線検知の可能性が示唆された。以上の結果から、本手法が食品の内部構造・成分分布の計測や、安全性評価に適用可能であると考えられた。また、植物の根粒を対象にした実験において、根粒菌の分布域や維管束の構造が可視化され、本手法が食品以外の分野にも応用可能であることが示唆された。 以上の内容については、2003年度農業施設学会大会(北海道、2003年8月)、第50回食品科学工学会大会(東京、2003年9月)、第32回食品と農業に関する日米会議(茨城、2003年11月)、第19回非破壊計測シンポジウム(茨城、2003年11月)、及び第9回国際食品工学会議(モンペリエ、フランス、2004年3月)において研究発表を行った。
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