2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物のアレルギー性疾患におけるケモカインに関する研究
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03J11361
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 貞俊 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ケモカイン / アレルギー性疾患 |
Research Abstract |
平成15年度は、イヌTARCのリコンビント蛋白の作製および本蛋白を用いてイヌTARCに特異的なモノクローナル抗体の作製を行った。まず、TARC成熟タンパクをコードするcDNAを大腸菌発現ベクターに挿入し、リコンビナントイヌTARCを発現させ、精製した。その結果、分子量約10kDaのタンパクが得られた。得られたタンパクの生物活性をCCR4発現細胞株であるヒトリンパ系細胞株(Hut 102)およびイヌリンパ系細胞株(CL-1)を用いたケモタキシスアッセイによって評価した。その結果、今回作製したリコンビナントイヌTARCはHut 102およびCL-1細胞に対して高い遊走活性を示したが、CCR4非発現細胞株であるイヌリンパ系細胞株(GL-1)に対しては遊走活性を示さなかった。作製したリコンビナントイヌTARCをマウスに免疫し、イヌTARCに対するモノクローナル抗体の作製を行った。得られたモノクローナル抗体は、ELISAにおいて0.12-7.5μg/mlのリコンビナントイヌTARCを検出し得ることが明らかとなった。次いで、本抗体が細胞に発現しているイヌTARCと反応することを確認するため、TARC mRNAの発現細胞株であるCL-1および非発現細胞株であるGL-1を用いて検討を行った。フローサイトメーターを用いた解析の結果、本抗体はイヌのリンパ系細胞株に発現しているTARCを特異的に認識することが明らかとなった。さらに、アトピー性皮膚炎病変部から生検によって得た皮膚凍結切片において、抗イヌTARCモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的染色を行ったところ、表皮ケラチノサイトの細胞質内におけるTARCタンパクの発現が示された。一方、健常なイヌから採取した皮膚組織においては、TARCタンパクの発現は認められなかった。このことから、イタのアトピー性皮膚炎においては、病変部皮膚のケラチノサイトで産生されたTARCがCCR4陽性細胞の病変局所への選択的遊走に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Maeda, S., Okayama, T., Ohmori, K., Masuda, K., Ohno, K., Tsujimoto, H.: "Molecular cloning of the feline thymus and activation-regulated chemokine cDNA and its expression in lesional skin of cats with eosinophilic plaque."Journal of Veterinary Medical Science. 65. 275-278 (2003)