2004 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いた膜蛋白質-蛋白質相互作用における結合部位決定法の確立とその応用
Project/Area Number |
03J11378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 恒 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | nuclear Magnetic Resonance / K+チャネル / ポアーブロッカー / 転移交差飽和法 |
Research Abstract |
細胞表面に存在する膜蛋白質と細胞内外のリガンドの結合は、膜を介した情報伝達において重要な役割を果たしており、その生化学的意義を明らかにする上で、構造生物学的手法を導入し、リガンドの膜蛋白質結合部位を正確に同定することは有効と考えられる。しかしながら、膜蛋白質は脂質二重膜以外の環境において高次構造的に不安定となることが一般的に知られているため、界面活性剤に可溶化して解析を行う従来の構造生物学的戦略は常に有効とはいえなかった。そこでより汎用性の高い手法の確率を目指し、脂質二重膜中で膜蛋白質とリガンドの相互作用解析を行うNMR手法の確立を行った。 解析対象としては、昨年度、転移交差飽和法により結合界面を決定したStreptmyces lividance由来のK^+チャネル:KcsAと、K^+チャネルのポア領域に結合しイオンの透過を妨げるサソリ毒液由来のペプチド:Agitoxin2(AgTx)の相互作用を選択した。まずKcsAをアフィニティービーズに固定化した上で周囲に脂質二重膜を形成させることで、KcsAを脂質二重膜中に安定に再構成することに成功した。ここで確立した再構成手法は、使用するアフィニティービーズの種類や再構成する脂質の種類を選択することでKcsA以外の様々な膜蛋白質に適用可能であり、汎用性が高い。さらにKcsA再構成ビーズとAgTxの複合体に転移交差飽和法を適用し、AgTxのKcsA結合面を再現することに成功した。これは、脂質二重膜中の膜蛋白質に対するリガンドの相互作用面を観測した世界で初めての例である。
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