2003 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母のSte11タンパク質の機能ドメインの解析
Project/Area Number |
03J11423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸岡 貴司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 出芽酵母 / MAPKKK / 高浸透圧ストレス / フェロモン応答 / Ste11 / HOG |
Research Abstract |
出芽酵母のSte11 MAPKKKは高浸透圧ストレス応答MAPK経路(HOG経路)および接合フェロモン応答MAPK経路(Fus3経路)ではたらくことが知られている。このように、Ste11は両経路で共通に用いられているが、細胞は各々の刺激に応じて適切な経路のみを活性化する。しかしながら、現時点でSte11がどのようにシグナル伝達特異性に関与しているかは明らかになっていない。そこで、Ste11の機能ドメインを同定し、その機能を明らかにすることを目的として研究を行った。 まず、全長およそ700アミノ酸残基からなるSte11タンパク質のN末端側400アミノ酸残基の制御領域に20アミノ酸残基ずつ系統的に欠失変異を導入した。そして、これらの変異タンパク質をそれぞれ発現している酵母細胞のHOG経路およびFus3経路の活性化について検証した。 高浸透圧ストレス感受性に関しては、Δ21-40、Δ41-60、Δ61-80、Δ121-140、Δ141-160、Δ161-180、Δ181-200、Δ201-220およびΔ221-240変異体がYPD+1.2M NaClプレート上で高浸透圧ストレス感受性を示した。Δ41-60およびΔ61-80変異体については、より浸透圧の低いYPD+1.5Mソルビトールプレート上でも高浸透圧ストレス感受性を示した。さらに、これらの変異体では確かにHOG経路のMAPKであるHog1のリン酸化も見られなかった。したがって、これらの領域はHOG経路の活性化に重要であることが示唆される。 この結果と同様、これらの変異体ではFus3経路活性化の指標となるα因子刺激によるFUS1-lacZの発現が見られなかった。これらの結果より、21-80および121-240アミノ酸残基の領域はSte11が両経路を活性化するのに必要な領域であることが分かった。
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