2004 Fiscal Year Annual Research Report
筋強直性ジストロフィーのモデル構築とRNAリピート配列結合タンパク質の解析
Project/Area Number |
03J11463
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紀 嘉浩 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 筋ジストロフィー / RNA結合タンパク質 / 選択的スプライシング / トリプレット・リピート病 |
Research Abstract |
本研究では、前年度においてRNA結合タンパク質MBNL1の性状解析を行った。MBNL1は、筋強直性ジストロフィー(DM)患者の細胞で発現される伸長したリピート配列のRNAに捕捉され、機能低下していると考えられている。DM患者の細胞内では、幾つかの遺伝子におけるスプライシング異常が報告されており、症状への関与が示唆されている。最近、MBNL1ノックアウトマウスがDMの症状の一つである筋強直を再現し、また、骨格筋特異的塩素チャネル遺伝子Clcn1のスプライシングが異常に制御されていることが報告された。ここから、MBNL1とClcn1のスプライシングの異常が筋強直に関与することが示唆されたが、その機構は不明である。そこで、本研究では、Clcn1のスプレイシング制御とMBNL1の機能の解析を行った。 マウスのClcn1遺伝子のエクソン6からエクソン7までの遺伝子配列を取得し、これもminigeneとして培養細胞に発現させ、スプライシングを検出するモデル系を作製した。この遺伝子を伸長したCUGリピートRNAと共発現させると、選択的エクソン7Aの挿入が促進させ、DM患者で見られる異常なパターンと一致した。一方、MBNL1を発現させるとエクソン7Aの挿入は強く抑制され、正常なパターンが促進された。このことは、リピートRNAの発現によるMBNL1の機能低下がClcn1の異常スプライシングにつながることを示している。次に、Clcn1遺伝子配列のうち、MBNL1に対する応答性を持つ部位を決定した。さらに、この配列に対してMBNL1が結合性を示すことから、MBNL1によるClcn1スプライシング制御が直接的であることが示唆された。 以上の結果より、筋強直の症状に関わるClcn1のスプライシング制御の機構が明らかになった。また、これらの知見は、DMでの筋強直の治療法の確立にも貢献することが期待される。
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Research Products
(1 results)