2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11486
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 珠紀 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中世 / 朝廷 / 政務運営 / 実務官人 / 具注暦 / 情報 |
Research Abstract |
本研究の課題は中世における中下級官人の活動、それに伴う超廷内での情報等の流れを追うことで、当該期の政務運営のあり方を明らかにしようとするものである。本年は朝廷諸官司の中で経済的に重要な役割を果たした修理職、また中世を考える上で欠かせない史料である古記録の性格について考察した。 朝廷諸官司の中でも造営に携わり、経済的性格の強い官司に修理職がある。修理職はまたその性格上都市民や幕府との関係も強い官司であった。本年はこの修理職に注目し、その運営方式を探った。その結果、修理職は官制上の長官の上に「職務」等と称される実質的な統括者がおり、その変化を追うことで朝廷経済を実質的に支えていた層が明確になることがわかった。またこうした性格は修理職にとどまらず他の官司にも見られるものであることを明らかにした。この検討は2003年度史学会大会において「鎌倉期朝廷社会における官司運営の一側面 修理職の検討を中心として」として報告した。 また古記録の分析を通じて当時の情報の流れを追う作業も進めた。本年主に注目したのは古記録の料紙とされる具注暦に見える諸官人の活動、また記録中における称号から伺える人的把握の問題である。料紙の検討のため東洋文庫、国立歴史民俗博物館、京都市観音寺等の諸機関に調査に赴いた。これらの検討の成果は「中世における具注暦の性格と変遷」(『明月記研究』8号掲載)「中世の行事暦注に見る公事情報の共有」(『日本歴史』投稿中)として報告した。
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Research Products
(1 results)