2003 Fiscal Year Annual Research Report
想起における気分一致効果と気分不一致効果の統合-自己知識の構造という観点から-
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03J11510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊 美知子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 気分不一致効果 / 気分一致効果 / 自己知識の構造 / 自己複雑性 / 感情と認知の相互作用 / 気分緩和動機 / 知識構造 / 感情制御 |
Research Abstract |
現代社会はストレス社会と言われ,人々はしばしばストレスフルな出来事に直面し,不安や抑うつ,悲嘆などの不快感情を体験する.これらの感情は単に当人にとって心理的に不快というだけではない.身体的側面にも大きく変調をもたらすものである.従って,現代社会において心身の健康を維持するためには,感情の自己制御は極めて重要である. だが,感情の自己制御はうまく機能するとは限らない.「不快気分時には,不快経験ばかりを想起し,それにより一層不快気分を喚起される」という悪循環に陥ってしまうこともある.一方,不快気分時に快記憶を想起し,悪循環を回避できる場合もあるだろう.このように,「感情と一致する情報が処理されやすい」という気分一致効果は感情の自己制御を妨害するのに対して,「気分と不一致の情報を処理しやすい」という気分不一致効果が生じると,自己制御が促進されると言える. 本研究では,感情制御の成否を分ける気分一致効果と気分不一致効果に着目する.そして,従来の研究では考慮されてこなかった認知的要因を取り入れ,2つの現象を統合的に説明する枠組みを提唱すること,更に,それにより感情の自己制御に関して示唆を与えることを目的としている. 本年度は,認知的要因の中でも介入可能性の高い「自己知識の構造」に焦点を当て,気分不一致効果の関連を検討した(Sakaki,2004).その結果,「自己知識が複雑に構造化されている人は,単純な構造を持つ人に比べて,気分不一致効果を利用できること」,更に「自己知識が単純な構造を持つ人は,たとえ感情制御への動機を与えられても,気分不一致効果を利用できないこと」が示された.このことから,感情制御においては,動機のみならず自己知識の構造が重要であると言える.そして,気分一致効果と気分不一致効果の統合的枠組みを考える際には,自己知識の構造を考慮することが不可欠であると言えよう.
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Research Products
(1 results)