2003 Fiscal Year Annual Research Report
選択と参加による公立義務教育学校改革における家庭と学校の行動変容に関する実証研究
Project/Area Number |
03J11511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋野 晶寛 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 公立学校改革 / 学校選択制 / 学校参加 |
Research Abstract |
本年度においては、義務教育段階の公立学校改革における学校選択制・学校参加行動に関する文献サーヴェイ及び実証分析を平行して行った。 文献サーヴェイにおいては米・英の教育政策・行政のジャーナル論文・著書を中心にレヴューを行い、理論的検討、実証分析のための枠組み設定、分析手法の比較検討を行った。文献サーヴェイの結果、(1)学校選択制の行動分析において明示的に制度を説明変数とした研究は比較的新しいものの、行動の制約としての制度に焦点を当てる社会学的新制度論や制度間の補完性を扱う経済学における比較制度分析の枠組みが有用であること、(2)実証分析の手法としては、複数の階層レベルのデータを扱う階層一般化線形モデルが最適であるという知見を得た。 実証分析においては、量的分析と質的分析の双方を行った。量的分析においては、東京都内の1自治体の学校選択行動に関するミクロデータの分析を行い、質的分析においては、東京都、埼玉県の市区町村自治体の議会議事録及び行政資料収集、学校教育関係者(教育委員会、議員、校長)へのヒアリングを行った。その結果、(1)学校選択行動・参加行動が学校改善のためのフィードバック機能を担保していること、(2)双方の行動において家庭内での時間的資源・関係的資源が必要であること、(3)学校選択制の導入において首長・教育長のアジェンダ設定能力が影響を及ぼしていること、(4)制度導入・改変において住民・保護者の意見収集の度合いや校長間での合意形成の度合いが反映されること、を明らかにした。
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