2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択と参加による公立義務教育学校改革における家庭と学校の行動変容に関する実証研究
Project/Area Number |
03J11511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋野 晶寛 東京大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員
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Keywords | 学校選択制 / 地方教育政策 / 計量分析 |
Research Abstract |
今年度において行った研究は、主に、義務教育段階における公立学校選択制のもとでのマクロの動向の分析、公立学校選択制を含む地方教育政策過程の分析である。研究の概要と得られた知見は以下の通りである。 まず第1に、義務教育段階における公立学校選択制の元での選択者の選択行動について、東京都内自治体に関する集計データを用いて分析を行った。ベータ二項分布モデルを用いて、学校選択制実施自体の各年度における非従来指定校の選択者の割合の規定要因を分析した。その結果、時間的経過に伴う制度の浸透、学校間の相対的な規模の相違、学校選択制の制度的形態が、非従来校選択者率の増減に対して影響を持つことを明らかにした。また小学校と中学校における学校選択制に関して、各要因の影響の相違についても比較し、考察を行った。 第2に、公立学校選択制を含めた市区町村レベルでの地方教育政策過程に関する分析を行った。学校選択制に関してはその導入過程に着目し、生存分析の一手法(split populationモデル)を用いて導入の有無および時期の規定要因について分析した。市区町村内部の首長・議員の政治アクターおよび教育委員会・校長会などの教育行政アクターにおけるアクター間関係、および教員人事制度などの教育行政制度が及ぼす影響の有無を明らかにした。なお、公立学校選択制の導入のみならず、構造改革特区を通じた教育改革、教育委員会所管業務の民間委託に関しても同様の分析を行い、政策間の比較を行った上で、各々の特徴を明らかにした。
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