2003 Fiscal Year Annual Research Report
差異の再定位にむけて:障害をめぐる組織、政策、実践を手がかりにして
Project/Area Number |
03J11519
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
猪瀬 浩平 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 障害者 / プラティクス / 学習 / 政策過程 / インクルージョン / 特別支援教育 / 民族誌 / 農業 |
Research Abstract |
昨年度から実施している埼玉県内の「福祉農園」での参与観察を行った。当初は障害者の労働形態のひとつとしての「農業」に焦点を当て、関係者の聞き取り等を行い、情報収集を図った。それにより、「地域福祉」を機能させる要素として、政策的裏づけのみならず、地域社会内の社会関係資本を利用・醸成する必要がある点が明らかになった。この調査結果に関しては、日本ボランティア学会(2003年6月)の2003年次大会で発表している。 その後、焦点はこの農園に集まる「障害児」を含む子どもに移った。通常学級に在籍する「障害児」とその周辺行為者の実践の動態を明らかにした修士論文に絡めて、近年増加したとされる自閉症、ADHD、LD児に対する、医学的知識の進展、政策的整備、そして個別の実践に関して、特殊教育研究者や障害児の親を中心に聞き取りを開始している。この研究成果は2004年度以降に公開する予定である。 9月から12月まで3ヶ月にわたりアメリカ合衆国、ワシントンDC、カリフォルニア州での調査を行った。文献の収集のみならず、障害児教育に携わる現地活動家や研究者との情報交換を行った。現地では学齢期の「自閉症児」を対象とする支援に焦点を当てた。これにより、アメリカ社会に近年見られる自閉症児の「増加」が、医学的知識の進展と厳正化によってもたらされている点を明らかにした。またインクルーシヴ教育をめぐる政策過程に関して、公民権運動以降の権利獲得運動が影響を与えているアメリカ社会の特殊性を明らかにし、2004年度以降に行う日本社会との文化間比較を行う際の基盤を確立した。
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Research Products
(2 results)