2004 Fiscal Year Annual Research Report
ソビエト連邦構成共和国党エリートと中央・地方関係(1964-1991)
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03J11534
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
地田 徹朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カザフスタン / クルグズスタン / 中央アジア政治史 / ソ連政治史 / 帝国論 / 政治エリート |
Research Abstract |
今年度は海外での資料収集に重点を置き、ブレジネフ時代のソ連邦中央・共和国関係を明らかにすべく研究を行った。まず、7月から9月にかけてカザフスタン共和国に渡航し、1964年から1967年までの『カザフスタンスカヤ・プラヴダ』紙、1985年から1988年までの『ソヴィエツカヤ・キルギジヤ』紙について、共産党人事政策や連邦中央・共和国関係に関連する記事を収集し、現在はその資料の読み込みを進めている。また、2月中旬から3月上旬にかけて3週間ほどのロシア連邦モスクワ市に渡航し、ロシア連邦国立現代史文書館でブレジネフ時代のソ連邦共産党中央委員会組織・党活動部の文書を閲覧した。今回のロシア渡航では本格的な資料収集というよりも予備調査に留まったが、次回以降の本格的な調査に当たる際の素地はできあがった。 次に、論文執筆であるが、『スラヴ文化研究』誌に1955年から1991年までのカザフスタン共産党エリートのソ連邦内移動の特徴を検討する論文を検討した(現在査読中)。これにより、1950年代、60年と比べて1970年代に同党エリートのカザフスタン国内の浸透度が高くなり、カザフスタンにおけるカザフスタン人・非カザフ人を含んだ「国民国家」形成プロセスがブレジネフ時代の中期以降に促進されたことが詳らかにされた。 また、一橋大学経済研究所所蔵の"Soviet Biographic Archives"やキルギス共和国最高会議議員録(2期分を新たに入手)などを活用したカザフスタン共産党、キルギス共産党エリートのバイオグラフィー・データ収集も昨年度より継続して行った。また、今年度は特に「帝国論」やソ連「帝国」に関する文献の購読を重点的に行ったことを特記しておく。
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