2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 研志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震波速度異方性構造 / 地球内部構造 / 波形インバージョン / D''層 / 偏微分係数 / 理論係数 / 浅発地震 |
Research Abstract |
本研究の目的は、広帯域地震波形データの詳細な解析による、3次元地震波形速度の異方性構造推定である。本年度はまず、2種類の局所的な不均質構造に対する偏微分係数計算手法を開発し、そのソフトウェアを作成した。次に、浅い地震に対する理論波形計算手法の開発を行った。以下に具体的な成果を述べる。 (1)震源から伝播する波動場と観測点から時間的に逆に伝播する波動場との内積をとることによって効率的に局所的な不均質構造に対する偏微分係数を計算する手法(Geller & Hara,1993)を異方性媒質に対して適用し、局所的に異方性構造がある場合の偏微分係数計算手法を開発した。理論は任意な局所的な構造に対して有効であるが、本研究ではδ関数を用いて表現される点不均質(point heterogeneity)及び球殻不均質(shell heterogeneity)に対する定式化及びソフトウェアの開発を行った。また、点不均質は、一般的な異方性媒質(独立な弾性定数は21個)に対して、球殻不均質はTI異方性媒質(独立な弾性定数は5個)に対して開発した。 (2)浅い地震に対する理論波形計算手法の開発を行った。従来の研究では、深発地震に比べて浅発地震に対する理論波形の計算は困難であった。本研究は、その原因がevanescent regime(波数が虚数である領域)の不適切な取り扱いによる誤差にあることを突き止め、その領域に誤差理論(Geller & Takeuchi,1995)を適用することによって解決した。また、震源の深さによって必要となるangular orderが異なることを示した。そして、evanescent regimeの急激に減衰する特性を生かし、効率的な計算手法を開発した。
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