2005 Fiscal Year Annual Research Report
火星における火成活動史・物質進化史についての鉱物学的研究
Project/Area Number |
03J11597
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小泉 英祐 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 火星隕石 / 月隕石 / 結晶化実験 / XANES / 冷却速度 |
Research Abstract |
火星隕石・月隕石共に、近年南極、アフリカ及び中東の砂漠で多く見つかっており、近年火星及び月からのサンプルリターンが実現していない現状では、火星・月の玄武岩の形成過程を知る上で重要なサンプルである。地球外の玄武岩は月隕石と火星隕石だけであり、両者の間には共通点も多い。また火星はそのサイズが月と地球の間であり、月・及び地球の火成活動と比較することで火星における活動史をよりよく知ることができると考えられる。そこで、玄武岩質月隕石について、これまで火星隕石に用いてきた方法(結晶化実験、計算(結晶化、原子拡散))を用いて、その形成過程を調べた。 これまでおよそ40個の月隕石が見つかっているが、結晶質の玄武岩質月隕石は5つしか見つかっていない。LAP02205(LAP)はその内の一つであり、その組織が集積作用を受けた特徴を持たないという特徴をもつ。そこでこの月隕石の結晶化過程を研究した。その結果、LAPの全岩組成は親マグマの組成を残してはいないが、その大半を占める輝石はLAP全岩組成から結晶化したと考えられること、LAPはおよそ1-5℃/hrの冷却速度で結晶化したことが明らかになった。 他の結晶質の玄武岩質月隕石NWA032(NWA)についてもその結晶化過程を調べた。この研究により、NWAは親マグマの組成を残しており、LAPもNWAの親マグマから結晶化した可能性があるということが分かった。両者の違いは冷却速度の違いから生まれたと考えられ、NWAの結晶化時の冷却速度は5-10℃/hrと見積もられた。 同時に玄武岩質火星隕石QUE94201に対して行なった実験により、酸素分圧の違いにより結晶化する鉱物が異なるという結果を得られたが、これは鉄の価数の変化によると考えられるため、この実験サンプルに対して筑波高エネルギー加速器研究機構の放射光施設を用いてXANES法により鉄の2価・3価比を求めた。
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Research Products
(5 results)