2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規金属秩序型マンガン酸化物の構造・物性及びランダムネス効果の研究
Project/Area Number |
03J11616
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 智彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ペロブスカイト型Mn酸化物 / Aサイトランダムネス効果 / 巨大磁気抵抗効果 / 電荷整列転 / 電子相分離現象 / 金属秩序型Mn酸化物 |
Research Abstract |
本年度は以下の2つの研究目標を立て研究を行った。 (1)秩序型REBaMn206(RE=Tb,Dy,Ho,Y)の逐次相転移、特にこれらの物質で初めて見出した軌道整列転移と思われる構造相転移、及び新しい積層構造を持った電荷・軌道整列相の詳細を明らかにする (2)RE/Baサイトのランダムネス効果を利用した室温巨大磁気抵抗効果の発現 次にこれらの研究目標について研究実績の概要を示す。研究目標(1)について、FZ法を用い、TbBaMn206の単結晶を得ることに成功した。得られた単結晶について電気抵抗測定を行ったところ粉末構造解析の結果から予測していた軌道整列相の存在を示唆する電気抵抗の異方性を確認することに成功した。現在、より良質な単結晶育成を試みており、より詳細な構造解析を行う予定である。研究目標(2)については昨年度までに検証した"全ての相転移はAサイトのランダムネスにより大きく乱され、長距離秩序を形成することが困難になる"ことを利用し、Aサイトランダムネスと磁気抵抗効果の相関について調べた。その結果、磁気抵抗効果の発現には結晶にランダムネスの導入が必要不可欠であることを確認した。また、Aサイトの規則配列(層状秩序)が電荷整列転移を室温以上に安定化させていることを利用して、系にランダムネスを導入していくことで電荷秩序を乱し、室温で非常に大きな磁気抵抗効果を発現させた。これらの結果の一部はスペインで開催された国際会議SNS2004で発表した。現在、磁気抵抗効果に密接な関係のある電子相分離状態における電荷秩序相を電子顕微鏡の暗視野像を用いて観察し、結晶構造(組成)との関係を調べている。
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