2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三谷 烈史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 硬X線 / ガンマ線 / 偏光 / テルル化カドミウム / コンプトンカメラ / ガンマ線バースト / 粒子加速 |
Research Abstract |
現代宇宙物理に残された大きな謎であるガンマ線バーストの「中心エンジン」の解明を目指し、次世代の衛星搭載を見据えたガンマ線検出器の開発を進めた。「半導体コンプトンカメラ」を試作し、様々な地上試験および気球実験を行い、その概念の実証と基礎性能め評価を行った。 半導体コンプトンカメラに必要不可欠であるテルル化カドミウム(CdTe)撮像分光検出器をより高性能にするため、性能評価と製作条件の最適化を繰り返した。この検出器や読み出しシステムを含め、半導体コンプトンカメラの重要性をドイツにおけるワークショップで発表した。また、この検出器を4つ組み合わせて大面積の撮像検出器を構成し、符号化マスクを用いることにより、放射線源の位置を検出することに成功した。さらに、このCdTe検出器と両面シリコンストリップ検出器とを組み合わせ、半導体コンプトンカメラを製作し、コンプトン散乱の再構成によってガンマ線の入射方向を特定することに成功した。この実験結果をシミュレーションと比較しながら、角度分解能を支配する要素を考察し、性能向上に必要な要素を示した。 この半導体コンプトンカメラと大面積の撮像検出器を用いて気球実験を行った。次年度以降の本格的な宇宙観測め基礎となるように、機構系においてもデータ処理系においても拡張性に富んだ設計を行った。高度43kmで3時間のレベルフライトに成功し、気球の方向制御や観測データの取得に成功した。これにより、さらに多数の検出器を搭載した高感度の検出器により天体の観測が実現できることを示した。 硬X線における半導体コンプトンカメラの偏光検出能力の実証を放射光施設Spring-8において行った。100%直線偏光ビームを半導体コンプトンカメラに入射し、硬X線において偏光検出に成功した。この結果をIEEE国際学会/日本天文学会で発表し、IEEE論文にまとめた。
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Research Products
(1 results)