2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋深層における乱流拡散率の全球的な時空間分布の解明
Project/Area Number |
03J11636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 路生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海洋深層 / 乱流拡散 |
Research Abstract |
数値モデルで再現される深層海洋大循環のパターンや強さは,中・深層における乱流拡散過程に大きくコントロールされる.最近の数値実験によれば,深層大循環の維持には主温度躍層の下部付近でオーダー1cm^2s^<-1>程度の乱流拡散が必要とされる.乱流拡散過程に必要なエネルギーは大気擾乱や潮汐から供給されると考えられる.そのため,大気擾乱や潮汐によって励起された内部波がどの海域でカスケードダウンを起こし砕波するか明らかにすることが深層循環を知る上で重要である.潮汐モデルを用いることで,潮汐によって供給されるエネルギー散逸率の分布は次第に明らかになりつつある(Jayne and StLaurent,2001など).一方で大気擾乱によって供給されたエネルギーがどの海域で散逸するか,いままで明らかでなかった. 本研究ではまず,Garrett-Munkの内部波スペクトルモデルをコリオリ周波数の変化する鉛直2次元のβ面で定義した.こうして得られた内部波場に実際の風応力を境界条件として与えることで,内部波場と風応力によって励起された内部波との相互作用を調べた.その結果,風応力の大きい中高緯度域で励起された内部波が低緯度域に伝播し非線形相互作用によってエネルギーカスケードダウンを起こすことがわかった. 今後,内部波場における密度成層の違いを考慮しより現実的な状況でのエネルギーカスケード過程を明らかにする予定である.また,異なった緯度・時期におけるエネルギー散逸の様子を調べることで,エネルギー散逸率の時空間分布を明らかにする.
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