Research Abstract |
衝撃波結石破砕の研究においては近年,キャビテーション生成領域のコントロールと、衝撃波によって生成されるキャビテーション気泡の崩壊現象をアクティブに利用するという観点から研究が行われ,成果が上がっている.一方,我々は,2周波の超音波を組み合わせることによって,衝撃波を用いることなく結石を破砕する技術をこれまで研究を行っている.2周波の超音波サイクルにおいてクラウドキャビテーションの崩壊現象および,崩壊現象に起因する衝撃波伝播が高速度カメラ撮影によりとらえられ,モデル結石破砕実験によって,その結石破砕増強の効果の可能性が確認された.モデル結石破砕における結石破砕作用の増強は,クラウドキャビテーション崩壊に起因すると考えられるものの,いまだどのような条件で最適にクラウドキャビテーションを崩壊させうるかどうかは明らかにされていない.本年度においては,高速度カメラ撮影により,高周波フェーズにおけるクラウドキャビテーション挙動の撮影を行い,異なる音圧レベル,印可時間におけるその挙動を確認し,また崩壊に起因する衝撃圧の測定を行うことによって,ある特定の低周波数(555kHz)に対するクラウドキャビテーションの応答を調べた.具体的には,高周波フェーズにおけるクラウドキャビテーションの挙動が、a)低音圧下では視覚的に確認できるキャビテーションがない状態,b)中程度音圧下では半楕円球状の気泡群が生成する状態,c)高音圧下においてはサイズ形状が不規則な気泡群が発生する状態,の3種類に分類されることがわかった.対応して,低周波フェーズにおけるキャビテーション崩壊圧が,a)-c)の状態に応じて,a)崩壊圧がほとんど観測されない,b)大きな崩壊圧が観測される,c)崩壊圧は徐々に減少してゆく,という結果を得た,これにより,本手法におけるキャビテーションの挙動の特性が明らかになった.
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