2003 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性分子によって構成される機能膜に関する分子論的研究
Project/Area Number |
03J11651
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊川 豪太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 両親媒性分子 / 界面活性剤 / 分子動力学法 / 疎水性相互作用 / マルチスケール解析 / 界面微視構造 / 界面安定性 |
Research Abstract |
本研究では,生体膜を構成する両親媒性分子を対象に,ミクロスケールの動力学(例えば分子動力学法)からの情報を抽出し,よりマクロスケールでめ動力学(ブラウン動力学,DPD法など),あるいは生体膜の連続体モデルに還元することによって,生体膜のマルチスケール解析手法を構築することを目指し,研究を行っている.今年度では,両親媒性分子(特に界面活性剤)め気液界面の挙動について分子動力学レベルでの解析を行った.気液界面では,界面活性剤は界面に吸着する効果を持ち,極性を持つ親水基を液相に吸着させる.分子動力学シミュレーションの結果によって,界面活性剤が吸着した気液界面では,吸着していない界面に比べ,水分子の回転拡散挙動が緩やかになることを見出した.この結果は,界面安定性に対して重要な要因となると考えている.また今年度では,ミクロレベルでの界面挙動をよりメゾスコピックなレベルで抽出する方法を考案した.これまで,ミクロレベルで界面を定義する場合には,物理的に曖昧な定義法を用いるか,熱力学的な(静的でマクロな)界面の定義法が一般に用いられてきたが,この定義法によって,分子レベルの揺らぎの情報を保持しつつ,よりマクロな局所・瞬時的界面を定義することが可能である.さらに,この局所・瞬時的な界面が,熱力学的極限においては,熱力学的に定義される界面とよい一致を示すことを確認した.今回では,一般的に重要である気液界面にこの方法を適用したが,両親媒性分子によって構成される膜面の揺らぎ構造を捉えることにも応用が可能であると考えている.
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