2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11652
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千足 昇平 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Single-walled Carbon Nanotube / Raman Scattering Measurement / Temperature Dependence / Atomic Force microscope / Catalytic CVD / In-situ Measurement |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube, SWNT)は,その特異な物性についての基礎的研究のみならず,デバイスや工学的応用に向けても盛んに研究されている.単層カーボンナノチューブの多くの注目すべき特性の1つとして伝熱特性が挙げられる.軸方向に極めて高い熱伝導率を持ち,非等方的な伝熱特性が期待される.しかし,単層カーボンナノチューブが長さ数μm,太さ1〜2nmと非常に微細な構造であるため,まだその測定手法は確立されていない. 昨年までにラマン分光測定システムを伴う環境制御型原子間力顕微鏡(AFM)を開発し,この実験装置内で単層カーボンナノチューブのCVD合成やCVD合成中における成長段階にある単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルの測定に成功した.ラマン分光とは単層カーボンナノチューブ試料の分析や物性研究に広く行われている分析技術であり,本年はこの実験装置を用い実験的熱物性の第一段階として単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルの温度依存性について詳細に分析を行った.単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルには3つの特徴的なピーク(G-band, D-band及びRBMピーク)があり,これらピークについてのピーク位置(ラマンシフト),ピーク幅及びピーク面積強度に関して,4K〜1000Kの広範囲の温度依存性を様々な手法で合成された単層カーボンナノチューブ試料について測定した.G-band及びD-bandのピークは通常のラマンピークにみられるような,サンプル温度の増加に伴うラマンシフトのダウンシフトとピーク幅の増加,シグナル強度の減少という温度依存性が見られた.一方,RBMピークについては大部分のピークは通常の温度依存性に従っているが,温度を増加すると強度が強くなっていくという特異な温度依存性を示すピークが存在することがわかった.
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Research Products
(2 results)