2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11654
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 賢一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 再生熱交換器 / 熱流動数値解析 / 斜め波状壁 / 形状最適設計 / 伝熱促進機構 |
Research Abstract |
熱流体機器の最適設計を実現するためには,熱流動場のマクロな平均特性とともに,局所的な熱流動構造を把握し,評価指標の最適化に対する寄与を定量的に認識することが重要である.本年度は,具体的なアプリケーションとしてガスタービン用の再生熱交換器を想定し,波状に折り曲げた隔壁を重ねることで流路を構成し,一次伝熱面のみで熱交換を行う対向流型熱交換器を対象とした熱流動解析を行った. まず,熱流動現象を精度良く解析することが可能な直接数値シミュレーション(DNS)コードの開発を行った.従来,複雑形状流路内において等温加熱条件や等熱流束条件などの温度境界条件が課されることが多いが,本研究では隣接する流路間の温度連成を考慮した解析手法を構築した. 次に,波状変形を伴う伝熱面形状の最適化に対する有効かつ一般性の高い指針を得ることを目的とし,傾き角を有する斜め波状壁を用いた流路形状を考案した.特に,圧力損失に対する伝熱促進の比を向上させる観点から,波状壁の傾き角と振幅に注目し,対向する流れとの温度連成,高温・低温場の流路配置が伝熱・圧力損失特性に及ぼす影響を系統的に調べ,以下の知見を得た. 1)斜め波状壁の傾き角,振幅に対し熱流動特性は顕著に変化し,波状壁と側壁により生じる逆回転の渦構造対が流れ場を支配する.剥離が抑制されつつ,強い2次流れの伝熱促進効果が現われる適切な流路形状を選択することにより,伝熱・圧力損失特性の大幅な向上が実現される. 2)対向する高温・低温流体の流路配置により伝熱特性は有意に変化する.伝熱特性の悪い領域の周囲に伝熱特性め高い流体が隔壁を介して対向する配置により熱と流れの非相似性が増し,等温加熱条件よりもさらに熱伝達が増大する.このとき,圧力損失に対する伝熱促進の比の特性は,同一壁面に作用するせん断応力ベクトルの内積と密接に関連していることが明らかになった.
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