2003 Fiscal Year Annual Research Report
超音速せん断層内に形成される縦渦を用いた混合促進に関する研究
Project/Area Number |
03J11659
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坂 淳 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 縦渦 / 超音速せん断層 / 混合促進 / トレーリングエッジ形状 / 曲率 / 不安定性 |
Research Abstract |
スクラムジェット・エンジンの開発において,超音速空気流と燃料流の速やかな混合は必須である.本研究では,圧縮性乱流混合の最も基礎的な場である圧縮性せん断層に注目'し,混合促進の手法について検討してきた、圧縮性の影響が顕著になると,流れと垂直方向に回転軸を持つスパン方向渦の成長が抑制され,結果として流体混合が遅れてしまう.このような圧縮性による抑制効果を避けるため,本研究では,「縦渦」の利用を試みた.縦渦は,流れ方向と同じ向きに回転軸を持っており,圧縮性の影響を受けにくいことが示唆されている.本研究では,縦渦をどのようにして流れ場内に導入するかという点と,縦渦をどのようにして流れ場内において成長させるかという点を研究の焦点としている. 二つの流体を隔てるトレーリングエッジを正弦波,三角波および矩形波に加工することにより,せん断層の成長率がどのように変化するかを実験的に調べた.その結果,いずれの形状を用いた場合にも流れ場内に縦渦が導入されることがわかった.また,模擬燃料噴射管を構成する二枚のトレーリングエッジの位相を180度ずらした場合において,正弦波および三角波を用いた場合は最大で80%,矩形波を用いた場合には最大で50%程度せん断層の成長率が増加する事がわかった. 縦渦が成長しやすい場として,本研究では曲率を持つ流れ場を採用した.線形安定性解析により,高速流が曲率半径内側を流れるような流れ場において,スパン方向擾乱は不安定であり,その結果縦渦が成長し得ることが示された.流れ場のパラメータを変化させた結果,このような流れ場内に形成される縦渦はほとんど圧縮性の影響を受けないことが示された.これは,混合促進の観点からは非常に有益であると言える.まだ最も成長率の大きな縦渦の波長が存在することも示された.これらの結果を実験的に確かめるための風洞課備の作成が現在進行中である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 大坂淳, 荒木幹也, 中谷辰爾, 今村宰, 津江光洋, 河野通方: "曲率を持つ圧縮性せん断層の不安定性"日本航空宇宙学会論文集. 52巻602号. 101-107 (2004)
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[Publications] Jun Osaka, Mikiya Araki, Mitsuhiro Tsue, Michikata Kono: "A study on evolution of vortex structure induced by secondary instability of a compressible shear layer"Proceedings of Fifteenth International Symposium on Air Breathing Engines. CD-ROM. (2003)
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[Publications] Mikiya Araki, Jun Osaka, Mitsuhiro Tsue, Michikata Kono: "Effects of Secondary Instability on Mixing in a Compressible Shear Layer"Proceedings of Fifteenth International Symposium on Air Breathing Engines. CD-ROM. (2003)
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[Publications] 今村宰, 久保康之, 大坂淳, 佐藤順一, 津江光洋, 河野通方: "微小重力下における直流電解中での単一液滴燃焼時のすす挙動"日本機械学会論文集(B編). 印刷中. (2004)