2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11687
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 佳比古 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 熱電変換材料 / 低次元電子系 / 遷移金属酸化物 |
Research Abstract |
本年度、低次元電子系をもつ物質を対象として熱電材料開発を行った。二次元的な層状構造をもつ遷移金属酸化物、カルコゲン化物や、一次元的なトンネル構造をもつhollandite型の結晶構造をもつ遷移金属酸化物など、低次元電子系をもつと予想される様々な物質群において材料探索を行った。その結果、二次元電子系をもつ層状ロジウム酸化物であるSr_xRh_2O_4が高い熱電特性をもつことを発見した。層状ロジウム酸化物SrRh_2O_4は、新しい熱電材料として注目されるNaCo_2O_4と同じ結晶構造と、類似した低スピンのd電子配置をとることから、NaCo_2O_4と同様に高い熱電特性を示すことが期待できる。SrRh_2O_4は、1価のNaとは異なり2価のSrを含むためRhの電子配置が4d^6で絶縁体であり、これまで熱電材料として注目されていなかったが、本研究では、Sr量の大きな不定比性に着目し、Sr量を減らしてホールを注入することによりキャリア濃度の制御に成功した。その結果、Sr量をx【less than or equal】0.75に減らすことで半導体-金属転移を起こし、全温度領域で金属的な電気伝導が得られること、その組成においてSeebeck係数が室温付近で80μV/K、1000K付近で150μV/Kという、NaCo_2O_4伺様の非常に大きな値を示すことを発見した。NaCo_2O_4は、化学的な不安定さから高温での連続動作が難しいとされているが、Sr_xRh_2O_4は1200℃という高温域まで化学的に安定であるため、このような温度領域で新しい実用材料の候補となる可能性がある。この成果について、国内学会で3件(日本物理学会、応用物理学会)発表し、また、特許を申請中(特願2003-295854)である。
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