2004 Fiscal Year Annual Research Report
空間相関を考慮した地震及び強風危険度解析に基づく建築物群のリスクマネージメント
Project/Area Number |
03J11688
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西嶋 一欽 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震保険 / リスクマネジメント / 予想最大損失 / ポートフォリオ |
Research Abstract |
2003年9月から2004年8月までスイス連邦工科大学チューリッヒのFaber教授の下で、建築物ポートフォリオのリスクマネジメントに関する研究の応用例としての日本における地震保険料に関する検討を行った。 地震保険料を定量的に設定するためには、工学的な観点から、地震ハザード関数の評価、地震フラジリティ曲線・地震ロス関数の評価が必要である。本検討では、前年度より行ってきた空間相関を考慮した地震ハザード解析モデルを用い、工学的な観点から期待保険支払額および予想最大損失(PML)を評価した。なお、一般住宅の地震フラジリティ曲線・地震ロス関数については、1995年兵庫県南部地震についての既往の被害調査・研究を参考に設定した。検討の結果、すべての地域で現行の地震保険料が、工学的に算出された期待保険支払額を上回っており、北海道・九州等、工学的に地震危険度が低いと考えられている地域では、現行の地震保険料が工学的な期待保険支払額の10倍以上になる場合があることが明らかになった。また、地域ごとの予想最大損失も算出し、保険会社・政府が備えるべき支払いについても定量的に示した。 以上の成果は、工学における意思決定に関する国際会議(International Forum on Engineering Decision Making)において発表した。 また、免震構造物については実被害データが皆無であることから、工学的な知見に基づき、地震フラジリティ曲線・地震ロス関数を設定する必要があるが、この問題に対してベイズ意思決定理論の枠組みを用いてこれらを工学的に構成する可能性について、基礎的な検討を行った。
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Research Products
(1 results)