2003 Fiscal Year Annual Research Report
統計物理学と数理工学との融合及びその応用に関する研究
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03J11691
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊泉 太郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情報幾何 / 平均場近似 / ベキ分布 / 変分法 |
Research Abstract |
近年,非加法統計力学,発達した乱流,経済などの分野において、指数方分布に代わり,ベキ型の確率分布が注目を集めている.しかし特に多体系においては,そのようなベキ型分布の期待値を求めることは計算量的に困難である. 本研究では,指数型分布族を形式的に含む形で拡張したベキ型の確率分布に対して,その分布の指数の値に対応する特定のアルファー射影が多項式時間で計算可能であることを示すと也もに,アルファ-ダイバージェンスの最小化という観点からベキ型分布の期待値の近似アルゴリズムを定式化した. 計算機を用いた比較により,本研究が提案するアルファー射影によって得られるベキ型の分布の期待値が,相互作用項をその平均値で置き換えるという意味でのナイーブ平均場近似に比べて良い結果を与えることが確認できた. 特にアルファが1の極限において,本手法は従来の平均場近似と同一の近似方法であることが証明でき,平均場近似のベキ型分布に対する一般化であることがわかる.加算個のアルファの値に対しては同様に多項式時間で期待値が評価できるが,それらのアルファの値に関して計算時間と近似精度との間にトレードオフがあることを明らかにした. また本研究ではアルファ-ダイバージェンスの非負性より導かれる不等式が非加法統計力学におけるBogolyubovの不等式の1パラメータ拡張になっていることを示した.特に非加法統計力学の枠組みで厳密解が知られている一次元調和振動子模型に対し一般化された変分法を適用し,従来の手法よりもより良い自由エネルギーの上界を得た.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 豊泉太郎, 合原一幸: "α-分布族に対する平均場近似と変分方"電子情報通信学会論文誌D2. J86,No.7. 959-965 (2003)
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[Publications] Taro Toyoizumi, Kazuyuki Aihara: "Generalization of the Mean-field Method for Power-law Distributions"Shanghai international symposium on nonlinear science & applications. 1. MA2-1-4 (2003)