2004 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場を利用した弱磁性物質の構造制御及び新機能材料創製
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03J11693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 知弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁場 / 弱磁性 / 自己組織化 / 相変化 / 磁場誘起相転移 / 臨界点 / 構造物性 / 輸送現象 |
Research Abstract |
今年度の研究として、強磁場下において新奇な現象を示す物質を基礎物性および応用の両観点から探索を行った。応用面に関しては、ある種の遷移金属カルコゲナイドにおいて新規磁気メモリ効果に関する研究を行った。この材料は、結晶中に存在する遷移金属サイトの空孔が秩序配列を示すことが知られており、その空孔の配列に起因して通常はフェリ磁性を示す。本研究では、材料の精密な組成制御およびその試料の適切な熱処理条件の選択によって、その空孔の配列状態を制御できることを示し、結果としてその磁気的性質を制御することに成功した。具体的には硫化鉄(FexS,x=0.92)において多結晶試料、単結晶試料ともに、除冷した試料は自発磁化をもつフェリ磁性、急冷した試料は自発磁気を持たない超常磁性的振舞いを示す結果が得られた。このような材料の振舞いは、新規磁気メモリ材料として有用であると考えられる。また、基礎物性的な観点から興味深い性質を示す物質として鉄セレナイドFe_7Se_8について、その強磁場下での振舞いの研究を行った。この物質は低温で自発磁化の方向が変化する転移をするが、その転移点が磁場の印加により大きく変化し、また強磁場下において転移が消失するような臨界点の存在が示唆される結果がこれまでに得られている。今年度は、パルスマグネットを用いた超強磁場下における磁化測定、磁気転移前後の結晶構造の解析などにより、この磁気転移の振舞いに関する知見を集めた。
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Research Products
(3 results)