2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場を利用した弱磁性物質の構造制御及び新機能材料創製
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03J11693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 知弘 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 強磁場 / 秩序-無秩序転移 / 磁気目盛り / 構造相転移 / 軌道秩序 / 相変化メモリ / 遷移金属硫化物 / 輸送現象 |
Research Abstract |
本年度は、強磁場に応答する材料・デバイスの開発を念頭に置き、硫化鉄材料の機能開拓を進めた。この硫化鉄、Fe_<1-x>S、は2つの特徴的な相転移、反強磁性秩序を持ったスピンの方向の変化および鉄空孔の秩序・無秩序転移を示す。前者の転移については、この転移に伴い、鉄イオンの軌道状態が変化し、それに起因して電気伝導の次元性が変化する様子、すなわち低温の二次元的な伝導から高温の三次元的なものへの変化が観察された。これは強磁場によりスピンの方向を制御することで電気伝導の次元性を制御するという新規デバイスの開発につながるものであり、この現象についてより知見を深めるべく、伝導性、軌道状態の変化を分光実験や詳細な構造解析などにより詳細に調べた。また、後者の転移については、硫化鉄においては鉄欠損により生じた空孔がある空孔濃度を境として秩序-無秩序転移を示すことが知られていた。ここで、この秩序-無秩序転移の臨界組成を有する試料に着目することで、空孔の配列状態を利用した新規メモリ効果の開発を行ってきた。これは、臨界組成を持つ試料を徐冷した場合は、空孔の秩序配列を持つことによるフェリ磁性を持ち、一方急冷した試料は空孔の配列に乱れが生じるため、自発磁化を持たない超常磁性的振舞いを示すというものであり、そのため熱処理条件を変化させることで磁気メモリ効果が得られるものである。本年度はこのメモリ効果の起源についてより理解を深めるべく局所構造解析や輸送現象の測定などを行い、磁気特性と局所構造との相関や電子状態の変化などを調査した。
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Research Products
(2 results)